カンガルーの語源

   

 1770年、キャプテン・クックがオーストラリアに上陸した時、ピョンピョンと跳ねる動物を指差し
”あの動物は何という名前か?”と尋ねたところ”Kangaroo”という返事が返ってきた。
クックはその動物の名前だと思ったが実は先住民語で”I don't know.”の意味であった、という俗説があるが、
これは根も葉もない笑い話で、Kangarooはクックの理解したとおり正しい名称だったのである。

 クックは英国に帰ってからオーストラリア先住民単語集(約60語)を出版したが、その中にKangarooが
含まれていて、その収集地はクイーンズランド州のCook town付近であった。1788年最初の移民がクックの
単語集を持ってシドニーにやってきた。ところが、シドニーとクックタウンは約3000kmも離れており、
全く違った言語が話されていて、シドニー付近にはKangarooという言葉は存在しなかったのである。
白人は先住民語だと思っていたが、先住民は白人の喋るKangarooが英語だと思い、どうも話がかみ合わない。
どうやらクックの間違いらしいということになり、登場したのが”I don't know説”であった。

 この俗説は長い間まかり通っていたが、1972年に至り、人類学者 John Havilandがクックタウン付近の
Guugu Yimidhirr語にKangarooという単語が存在することを確かめて、クックの正しいことを証明し
この問題の決着がついたのである。

しかし、クックにも思い違いがなかったわけではない。カンガルーには種類が約45種類もあり、それぞれ違った
名があって、その内の1つのKangarooは極めて稀な黒色大型種の名前で、カンガルーという動物の
一般名ではなかったのである。Haviland以前に何人もの調査員がクックタウンを訪れているが、
この稀な種類に出くわすことがなかったため、確認が遅れたのであった。


出典:オーストラリア英語辞典 大修館書店


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